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  • 女性のフィナステリド服用による影響とは|禁忌といわれる理由も解説

    女性のフィナステリド服用による影響とは|禁忌といわれる理由も解説

    フィナステリドはAGA(男性型脱毛症)の治療薬に用いられる成分です。フィナステリドを配合した代表的な治療薬がプロペシアで、世界ではじめて開発されたAGA治療薬としても知られています。

    しかし、原則として女性のフィナステリド服用は禁忌とされています。本記事では女性のフィナステリド服用が禁忌の理由やFAGA(女性型脱毛症)の治療方法、および女性が気になるフィナステリドに関する質問について解説します。

    女性のフィナステリド服用が禁忌とされている理由

    女性のフィナステリド服用が禁忌の理由は以下の3つです。

    • 男性ホルモンの分泌に影響を与えホルモンバランスを崩し不妊や体調不良などの原因となり得る
    • 胎児の生殖器の成長に必要なDHTの働きを阻害し胎児の発育に影響を与える恐れがある
    • 臨床試験の段階で女性に対しての安全性・有効性を確立出来ていない

    3つの理由について解説します。

    男性ホルモンの分泌に影響を与えホルモンバランスを崩し不妊や体調不良などの原因となり得る

    女性のフィナステリド服用が禁忌の理由は、男性ホルモンの分泌に影響を与えホルモンバランスを崩し、不妊や体調不良などの原因となり得るためです。男性ホルモンには主に以下の6つのはたらきがあります。

    • 骨を太く強くする
    • 動脈硬化を抑制する
    • 性欲を高める
    • 筋肉の量を増やす
    • 皮脂を分泌する
    • 体毛を増やす

    上記のはたらき以外にも男性ホルモンの分泌により集中力が向上し、精神状態が安定すると考えられています。しかし女性の体内で分泌される男性ホルモンの量は、男性に比べ10分の1程度です。

    フィナステリドは男性ホルモンのバランスをコントロールする治療薬のため、女性が服用すると身体的・精神的なデメリットが大きいです。ホルモンバランスを崩した場合、頭痛や吐き気などの発症リスクも高まります。

    関連記事:AGAが「発症したら終わり」といわれる理由を解説

    胎児の生殖器の成長に必要なDHTの働きを阻害して胎児の発育に影響を与える恐れがある

    胎児の生殖器の成長に必要なDHTの働きを妨げ発育に影響を与える恐れがある点も、女性のフィナステリド服用が禁忌の理由の1つです。

    DHTはジヒドロテストステロンと呼ばれる男性ホルモンの一種で、AGA(男性型脱毛症)を引き起こす要因の1つです。

    しかし、DHTは男児の生殖器を成長させるのに欠かせないホルモンでもあります。男児を懐妊中の女性がフィナステリドを服用すると、男児の生殖器の正常な発育に悪影響をおよぼす恐れがあります。

    参照元:プロペシア錠添付文書

    臨床試験の段階で女性に対しての安全性・有効性を確立出来ていない

    フィナステリドは臨床試験の段階で女性に対しての服用時の安全性・有効性を確立できておりません。

    フィナステリドの有効性に関しては、男性型および女性型診療ガイドラインに以下の報告が記載されています。

    『137名の女性被験者を対象とした試験において、1㎠あたりの硬毛数はフィナステリド投与群で-8.7、プラセボ群で-6.6といずれも減少』

    引用元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版

    上記ランダム化比較試験により、フィナステリドを服用してもしなくても抜け毛の量に変化はないという試験結果が出ています。

    試験結果に基づき同ガイドラインでは女性のフィナステリド内服の有効性について、推奨度をD(行なうべきでない)ランクに位置付けています。

    フィナステリド服用中の相手との妊活は可能だが妊娠後は取り扱いに注意が必要

    フィナステリド服用中の相手との妊活は可能ですが、妊娠後は取り扱いに注意が必要です。フィナステリドが妊活に影響を与えない点については、ヒトと類似した生化学的特性を持つ妊娠中のアカゲザルにフィナステリドを静脈注射した実験結果が記載されています。

    『アカゲザルの妊娠20日から100日までフィナステリド120ng/kg/dayを毎日静脈内投与した場合でも雌雄胎児に異常所見は認められなかった』

    参照元:プロペシア錠添付文書

    女性のフィナステリド服用は禁忌ですが、服用中の男性との性交により膣内に有効成分が吸収されても胎児に影響はありません。

    しかし、妊娠後はフィナステリドの取り扱いに注意する必要があります。割れたり砕けたりしたフィナステリドに女性が触れた場合、皮膚を介して有効成分を胎内へ吸収する恐れがあります。

    フィナステリドのAGA治療における効果・作用

    フィナステリドは抜け毛の予防と薄毛の進行スピードを遅らせる効果があります。AGAが進行するメカニズムは次の4通りです。

    1. 5α-リダクターゼのはたらきでテストステロンがDHTに変化する
    2. DHTがアンドロゲン受容体に結合する
    3. サイトカインの一種であるTGF-βが生成される
    4. TGF-βによりヘアサイクルが乱され抜け毛を引き起こす

    フィナステリドには、テストステロンがDHTへと変化する際に重要な役目を持つ5α-リダクターゼのはたらきを妨げる作用があります。

    フィナステリドの作用で5α-リダクターゼのはたらきを妨げることでDHTの生成が阻害され、抜け毛の原因となるサイトカインが生成されなくなり、AGAの進行スピードが遅くなります。
    参考:AGAが完治した人はいるかどうか解説

    関連記事:プロペシア(フィナステリド)だけで十分な薄毛対策は可能?効果を実感するまでの期間も紹介

    フィナステリド以外で女性が使用できるFAGA・薄毛の治療薬・治療方法

    フィナステリド以外で女性が使用できる主なFAGAや薄毛の治療薬、および治療方法は次の5通りです。

    • ミノキシジル内服・外用
    • スピロノラクトン内服
    • アデノシン外⽤
    • メソセラピー(成⻑因⼦、サイトカイン注射)
    • 低出⼒レーザー治療

    5つの治療法について解説します。

    ミノキシジル内服・外⽤

    フィナステリド以外で女性が使用できる治療薬がミノキシジルの内服薬および外用薬です。ミノキシジルの内服薬および外用薬の特徴は以下の通りです。

     ミノキシジル内服薬ミノキシジル外用薬
    期待できる効果高い発毛効果発毛効果
    使用を避けるべき人心臓に不安がある方アレルギー反応が見られる方
    使用方法1日に1錠を服用朝と夜の2回適量を塗布する
    使用上の注意点決まった時間に服用する用法・用量を守る
    起こり得る副作用動悸・息切れ・頭痛頭皮のかゆみ・赤み
    アレルギー
    効果を実感できる前の目安期間およそ6ヶ月4ヶ月~

    ミノキシジルには血管を拡張して血液循環を促進するはたらきがあります。また、毛母細胞の死滅を抑制して発毛促進する作用も期待されています。

    ミノキシジル内服薬は外用薬よりも血液中に吸収されやすく、外用薬より高い発毛効果を期待できます。しかし、ミノキシジル内服薬の服用は心臓への負担を増す恐れがあり、高血圧の方や高齢の方は服用を避けるべきです。

    ミノキシジル外用薬は女性型脱毛症の治療法の中で、日本皮膚科学会により推奨度Aランク(行うよう強く勧める)に位置付けられています。

    ただし妊婦に対するミノキシジル外用薬・内服薬の安全性は確認されていません。ミノキシジルに限らず妊婦が何らかの医薬品を利用する場合は必ず医師に相談しましょう。

    引用元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版

    関連記事:プロペシア(フィナステリド)だけで十分な薄毛対策は可能?効果を実感するまでの期間も紹介

    スピロノラクトン内服

    スピロノラクトン内服薬も女性の薄毛治療によく利用されます。スピロノラクトン内服薬の特徴は以下の通りです。

    期待できる効果抜け毛予防
    使用を避けるべき人急性腎不全・高カリウム血症・アジソン病の人など
    使用方法1日1回1錠を使用(25mg)
    使用上の注意点併用禁忌薬に注意(自己免疫疾患の治療薬など)
    起こり得る副作用頻尿、電解質異常、生理不順、
    めまい・頭痛・口渇・食欲不振など(いずれも頻度不明)
    効果を実感できるまでの期間数ヶ月程度

    スピロノラクトン内服薬はもともと高血圧の治療目的で用いられていました。利尿作用により血圧を下げる効果のほかに抗男性ホルモン作用も期待できるため薄毛治療にも用いられています。

    ただし、使用を避けるべき人の項目にある疾患の治療中にスピロノラクトン内服薬を服用した場合、症状を悪化させる恐れもあるため、必ず医師の指導下で服用しましょう。

    アデノシン外⽤

    フィナステリド以外で女性が使用できる治療薬の1つがアデノシン外用薬です。アデノシン外用薬の特徴は以下の6通りです。

    期待できる効果血行促進・毛母細胞を活性化
    使用を避けるべき人特になし
    使用方法洗髪後に適量を頭皮へ塗布
    使用上の注意点容量・容量を守り使用
    起こり得る副作用まれに頭皮のかゆみ
    効果を実感できるまでの期間6ヶ月~12ヶ月

    アデノシンは薬局やドラッグストアで販売されている育毛剤にも配合されている成分です。血行を促進し毛母細胞を活性化させる作用で抜け毛を予防し、発毛を促進するのが特徴です。

    30名の女性を対象とした12ヶ月のランダム化比較試験では、アデノシン外用薬を利用した群に有意な発毛効果が認められています。

    有効性を示す根拠がまだ十分ではありませんが、ほかの治療薬に比べ副作用の危険性がほとんどないため、日本皮膚科学会により推奨度C1(行ってもよい)の治療法に分類されています。
    引用元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版

    メソセラピー(成⻑因⼦、サイトカイン注射)

    メソセラピー(成⻑因⼦、サイトカイン注射)は、フィナステリド以外で女性ができる治療法の1つです。メソセラピーの特徴は以下の6通りです。

    期待できる効果ヘアサイクルを成長期に誘導・維持
    治療を避けるべき人妊娠中・授乳中の女性
    治療方法頭皮下にグロースファクター(成長因子)を注入
    治療上の注意点治療当日は激しい運動・入浴・飲酒を控える
    起こり得る副作用治療にともなう頭皮の痛み・アレルギー反応など
    効果を実感できるまでの期間3ヶ月~6ヶ月

    メソセラピーは髪の毛の成長に必要な因子やサイトカインを、頭皮下に直接注入する治療法です。メソセラピー以外の治療と同時に行うと、早期の発毛効果が期待できます。

    メソセラピーはほかの治療法に比べ副作用のリスクが少ないですが、妊娠中や授乳中の女性は施術を避けるべきです。

    低出⼒レーザー治療

    低出力レーザー治療(LLLT:Low Level Laser therapy)もフィナステリド以外で女性ができる治療法の1つです。低出力レーザー治療の特徴は以下の6通りです。

    期待できる効果アデノシン三リン酸を増加させ、ヘアサイクルを成長期に導く
    治療を避けるべき人妊婦・日焼けをした直後の人・光過敏症の患者
    治療方法低出力レーザーを照射する専用の器具を頭にかぶる
    治療上の注意点何らかの病気の治療中は医師に相談する
    起こり得る副作用まれに頭皮の赤み・かゆみ・ほてり
    効果を実感できるまでの期間4ヶ月~

    低出力レーザー治療にはアデノシン三リン酸を増加させ、ヘアサイクルを成長期へ導く効果が期待されています。他の治療法と比べ副作用のリスクが低く、妊娠中や日焼け直後などを除き誰でも治療が受けられます。

    ガイドラインではミノキシジルの外用とならび、数少ない推奨度B(行うようすすめる)以上の女性の薄毛治療法です。
    引用元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版

    フィナステリド以外のFAGA・薄毛治療薬はAGAクリニックでのがおすすめ

    フィナステリド以外のFAGAの治療や、薄毛治療薬の購入はAGAクリニックで行うのがおすすめです。薄毛治療専門のクリニックでは、一人ひとりの薄毛の原因を見つけ出し最適な治療を提供してくれます。

    プラン治療内容料金
    予防プランスピロノラクトン内服2,750円(1ケ月)
    ライトプランスピロノラクトン内服ミノキシジル内服11,000円(1ケ月・12回コース)
    発毛実感プランスピロノラクトン内服ミノキシジル内服ミノキシジル外用サプリメント内服33,000円(1ケ月・12回コース)
    発毛即効プランスピロノラクトン内服ミノキシジル内服ミノキシジル外用サプリメント内服メソセラピー2㏄82,500円(1ケ月・12回コース)

    また、FAGAをはじめとする薄毛の治療薬もクリニックで処方してもらうと安全・安心です。育毛剤にも髪の毛を強く成長させる効果が期待できますが、多くの方が安全に使える点を念頭に作られているため、治療薬ほどの抜け毛抑制・発毛効果は期待できません

    FAGAなど女性に見られる薄毛を改善するため、海外製のジェネリックなどを輸入する方もいますが、正規品ほどの効果が期待できなかったり、商品が届かない場合もあるため避けましょう。

    自分の判断で医薬品を服用した場合に、副作用が起これば自己責任となります。クリニックでFAGAなどの薄毛治療をはじめた場合は、自分の判断で治療薬の服用を中止するのはNGです。
    参考:AGA治療で効果がないと感じる原因や対処法について解説

    関連記事:皮膚科とAGAクリニックで受けられるAGA治療法・費用面の違いについて解説

    女性が気になるフィナステリドに関するよくある質問

    女性が気になるフィナステリドに関するよくある質問が以下の2つです。

    • フィナステリドの服用で不妊になる?
    • フィナステリドを服用してるパートナーとキスできる?

    2つの質問にお答えします。

    フィナステリドの服用で不妊になる?

    男性がフィナステリドを服用中の場合、妊娠に悪影響をおよぼす可能性があります。フィナステリドは男性ホルモンの一種であるDHTを抑制する医薬品ですが、服用にともない以下の男性機能の低下を引き起こす可能性があります。

    リビドー(性欲)減退1%~5%
    勃起不全・オーガズム障害・精液量の減少1%未満
    精子濃度の減少・無精子症発症頻度不明

    参照元:プロペシア錠添付文書

    上記の表からも分かるように、男性機能の低下が起こる可能性はそれほど高くありません。しかし男性原因の不妊が心配なら、事前に専門医へ相談しましょう。

    フィナステリドを服用してるパートナーとキスできる?

    男性がフィナステリドを服用中でもパートナーとキスは問題ありません。フィナステリドが唾液に移行する可能性はほとんどないと考えられているため、仮に女性が妊活中や妊娠中でも、キスによる母体や胎児への悪影響を懸念する必要はありません。

    ベアAGAクリニックではフィナステリド以外のFAGA治療方法をご提案

    ベアAGAクリニックでは複数プランを用意し、一人ひとりの症状やご要望に合った治療を提供しています。治療の途中でコースを変更可能なだけでなく、キャンセルによる返金も受け付けているため安心して治療を続けられます。

    女性がフィナステリドを服用した場合、男性ホルモンのバランスを崩し不妊や体調不良を引き起こす恐れがあります。フィナステリドは女性の服用を想定しておらず、安全性はもちろん有効性も確認されていません。

    女性がFAGA(女性型脱毛症)をはじめとした薄毛治療する場合は、スピロノラクトンやミノキシジルの内服・外用がおすすめです。さらに高い発毛効果を得たい場合には、メソセラピーを併用する方法もあります。

    ベアAGAクリニックでは無料でカウンセリングが受けられるため、治療内容や費用に関する相談がある方は気軽に問い合わせください。

    関連記事:AGAのオンライン診療のデメリットとは?メリットやクリニックの選び方も紹介