日本テレビ「DayDay.」「news every.」、フジテレビ「Live News イット!」ほか出演・取材協力
「ピルを飲み始めてから抜け毛が気になる」
「ピルをやめたら髪がごっそり抜けた。逆に”やめたら増えた”という話も聞くけど、どっちが本当?」
この記事では、ピルと髪の関係を「飲み始め」「服用中」「やめた後」の3つの場面に分けて、新宿で女性の薄毛治療を行う医師が解説します。
なぜピルで髪が変わるのか — 女性ホルモンと髪の関係
髪には「成長期→退行期→休止期」というヘアサイクルがあり、女性ホルモン(エストロゲン)には髪の成長期を長く保つ働きがあります。
ピルは女性ホルモン(エストロゲン+黄体ホルモン)を含む薬なので、飲み始める・やめるというタイミングで体内のホルモン量が大きく変わり、それに合わせてヘアサイクルも影響を受けます。ピルと抜け毛の関係は、この「ホルモン量の変化」がほぼすべての鍵です。
ピルをやめたら抜け毛が増えた — 産後の抜け毛と同じ仕組み
もっとも相談が多いのがこのパターンです。
ピルの服用中はエストロゲンが補われているため、本来なら抜けるはずだった髪が成長期に留まっています。服用をやめるとエストロゲンが急に減り、留まっていた髪が一斉に休止期へ移行して、数ヶ月後にまとまって抜けます。これは「休止期脱毛」と呼ばれる現象で、産後の抜け毛(分娩後脱毛症)とまったく同じ仕組みです。
| 時期 | 起こること |
|---|---|
| 中止後 2〜3ヶ月ごろ | 抜け毛の増加を感じ始めることが多い時期 |
| その後 数ヶ月 | 抜け毛のピーク。シャンプーやブラッシングで目立つ |
| 半年〜1年ほど | ヘアサイクルが整い、多くの場合自然に回復していく |
一時的な現象なので、慌てて特別な対策をしなくても回復していくケースが大半です。ただし「半年以上たっても抜け毛が減らない」「回復を待つ間に分け目が目立ってきた」という場合は、後述するFAGAが背景にある可能性を考えます。
逆に「ピルをやめたら髪が増えた」という人がいるのはなぜ?
検索すると「ピルをやめたら髪が増えた」という体験談も見つかり、混乱してしまう方が多いポイントです。これは、ピルに含まれる黄体ホルモン(プロゲスチン)の種類によって、男性ホルモンに似た作用(アンドロゲン活性)の強さが違うことで説明できます。
| 世代 | 黄体ホルモンの例 | 男性ホルモン様作用 |
|---|---|---|
| 第1世代 | ノルエチステロン | あり |
| 第2世代 | レボノルゲストレル | 比較的強い |
| 第3世代 | デソゲストレル | 弱い |
| 第4世代 | ドロスピレノン | むしろ抑える方向(抗アンドロゲン性) |
男性ホルモン様作用が比較的強いピルを長く飲んでいた方は、その影響で髪が細くなる方向に働いていた可能性があり、やめたことでその影響が外れ、「髪が増えた」と感じることがあります。
つまり「やめたら抜けた」も「やめたら増えた」もどちらも実際に起こり得ることで、飲んでいたピルの種類と、その人のホルモン感受性によって変わるのです。
ピルを飲み始めてから抜け毛が気になる場合
飲み始めの時期も、ホルモンバランスが切り替わるタイミングなので、一時的に抜け毛が増えることがあります。体が慣れる2〜3ヶ月ほどで落ち着くことが多いです。
ここで大切なのは、抜け毛を理由に自己判断でピルをやめないことです。ピルは避妊のほか、月経困難症やPMSの治療など大切な目的で処方されています。急にやめるとかえってホルモン変動による抜け毛を招くこともあるため、気になる場合はまず処方医(婦人科)に相談してください。髪の症状については、婦人科と並行して薄毛専門のクリニックでご相談いただけます。
こんな場合はFAGAが隠れているかもしれません
次のような場合は、ピルによる一時的な抜け毛ではなく、FAGA(女性男性型脱毛症)などの進行性の薄毛が背景にある可能性があります。
- ピルをやめて半年以上たっても抜け毛が続いている
- 抜け毛の量よりも、分け目や生え際が透けてきた・髪が細くなったことが気になる
- ピルを飲む前から少しずつ薄毛が進んでいた気がする
休止期脱毛は「抜けても戻る」のに対し、FAGAは放置すると少しずつ進行するのが大きな違いです。当院では問診とマイクロスコープによる頭皮チェックで原因を確かめ、貧血・甲状腺の病気などが疑われる場合は検査のご案内も含めて診断しています。どの診療科に行くべきか迷っている方は女性の抜け毛は何科?の解説記事も参考にしてください。
ピル服用中でも薄毛治療はできる?
可能です。ただし薬の組み合わせに注意が必要なため、必ず服用中のピルの種類を診察時にお知らせください。
- ミノキシジル(外用): ピルと併用できます。発毛治療の基本です
- スピロノラクトン(内服): 併用できる場合が多いですが、ピルの種類によっては注意が必要です(特にドロスピレノン配合ピルとの併用は、血中カリウムが上がりやすくなるため医師の管理のもとで行います)
なお、スピロノラクトン単独では月経不順が起こることがあり、その調整のためにピルを併用する場合もあります。ピルと薄毛治療は「どちらかを諦める」ものではなく、組み合わせを整えるものと考えてください。
治療薬の全体像はFAGA治療薬まとめの記事で詳しく解説しています。費用は予防プラン月2,750円〜、発毛プラン月11,000円〜です(12ヶ月プランの月額。詳しくは費用の解説記事へ)。
よくある質問
Qピルをやめてからの抜け毛は、どのくらいで落ち着きますか?
個人差はありますが、中止後2〜3ヶ月ごろから抜け毛が目立ち、半年〜1年ほどでヘアサイクルが整い落ち着いていくのが一般的な経過です。半年以上続く場合は他の原因も考え、一度受診をおすすめします。
Q薄毛の治療のためにピルを飲む(変える)ことはできますか?
当院では薄毛治療を目的としたピルの処方は行っていません。ピルの開始・変更・中止は避妊や月経の治療に関わることなので婦人科でご相談ください。薄毛に対しては、スピロノラクトンやミノキシジルなど薄毛治療のための薬でアプローチします。
Qミレーナ(子宮内システム)やミニピルでも抜け毛は起こりますか?
黄体ホルモンを使う方法なので、種類や体質によっては髪への影響が出ることがあります。気になる症状があれば、使用中の避妊法・薬剤名を控えたうえでご相談ください。
まとめ
- ピルの飲み始め・やめた後の抜け毛はホルモン変動による一時的なものが多く、半年〜1年で落ち着くのが一般的
- 「やめたら増えた」もあり得る — ピルの種類(黄体ホルモンの男性ホルモン様作用)で髪への影響が違う
- 抜け毛を理由に自己判断でピルをやめない(まず婦人科へ)
- 半年以上続く・分け目が透ける場合はFAGAの可能性 — 進行する前に診断を
治療を始めるまでの流れはFAGA治療の始め方の解説記事にまとめています。



