日本テレビ「DayDay.」「news every.」、フジテレビ「Live News イット!」ほか出演・取材協力
「夏のあいだも気になってはいたけれど、9月に入ってから明らかに増えた」
「ドライヤーのあと、床に落ちた髪を見るのがこわくなってきた」
この記事では、秋に抜け毛が増える理由、女性ならではの気づき方、いつまで続くのか、そして「季節のせい」で済ませてよいのかどうかの見きわめ方まで、新宿で女性の薄毛治療を行う医師がご説明します。
秋に抜け毛が増えるのは、あなただけではありません
まず知っていただきたいのは、秋に抜け毛が増えるのはごく多くの方に起こることで、めずらしいことではないということです。髪には生え変わりのリズム(ヘアサイクル)があり、健康な方でも1日に50本から100本ほどは自然に抜けています。秋はこの本数が一時的に増えるため、シャンプーのときや枕元で、目に見えて多く感じられます。
髪は伸び続ける成長期を終えると、休止期に入って抜け落ち、また新しい毛が生えてきます。この休止期に入る毛が一時的にまとまって増える状態を、医学的には休止期脱毛といいます。秋の抜け毛の多くは、この休止期脱毛にあたります。
もうひとつの理由は、夏に受けたダメージが遅れて表れることです。紫外線を浴びた頭皮、汗や皮脂で環境が乱れた毛穴、冷房による乾燥、食欲が落ちて不足しがちだった栄養。これらの影響は、その日のうちに抜け毛として出るわけではなく、ヘアサイクルを一巡してから、数ヶ月遅れで表面化してきます。夏のあいだは平気だったのに秋になって増えた、という感覚には、こうした背景があります。夏の過ごし方と対策については、夏に抜け毛が増える女性への解説記事にまとめています。季節ごとの抜け毛の傾向は季節の変わり目と抜け毛の記事もあわせてご覧ください。
女性は「本数」より「分け目」で気づくことが多いです
男性の薄毛は生え際やつむじから始まることが多いのに対して、女性の薄毛は分け目や頭頂部を中心に、全体がゆっくり薄くなっていくのが特徴です。そのため、抜け毛の本数そのものより、鏡に映った分け目の幅や、明るい場所で撮った写真、あるいは美容院で「地肌が見えやすくなっていますね」と言われたことをきっかけに気づかれる方が多くいらっしゃいます。
秋はここに季節性の抜け毛が重なります。もともと少しずつ進んでいたものが、抜け毛が増えた時期と重なって一気に見えるようになるため、「この数週間で急に進んだ」と感じてしまうのです。実際には急に進んだわけではないことも多いのですが、ご本人にとっては十分にこわい変化です。不安になるのは当然のことだと思います。
秋の抜け毛は、いつまで続くのでしょうか?
季節性の抜け毛であれば、多くの場合は1〜2ヶ月ほどでピークを越え、そのあとは自然に落ち着いていきます。9月から10月にかけていちばん多く、11月の後半から12月にはおさまってきた、という経過をたどる方が一般的です。特別なことをしなくても回復していきますので、この時期にあわてて高価なケアを追加する必要はありません。
気をつけていただきたいのは、年を越えても抜け毛が減らない場合です。「秋だから」と思って過ごしているあいだに、実は別の原因が進んでいたということがあります。冬になっても変わらないかどうかが、ひとつの区切りだとお考えください。
産後や更年期と重なっているとき
出産の時期によっては、産後の抜け毛と秋のピークがちょうど重なることがあります。産後の抜け毛そのものは、多くの場合は半年から1年ほどで落ち着いていきます。ただ、1年を過ぎても戻らないときは、もともとFAGAの体質があり、それが出産をきっかけに表に出た可能性を考えます。時期の目安は産後の抜け毛はいつからいつまで続くのかの記事で詳しくご説明しています。
更年期の前後も同じです。エストロゲンが減っていく時期は髪を保つ力が弱まり、FAGAが表に出やすくなります。ここに秋の抜け毛が重なると、「この秋で一気に来た」と感じられる方が少なくありません。こちらは更年期の抜け毛の記事もご参考になさってください。
どちらの場合も、季節のせいだと思って待っているあいだにも進んでいくことがあります。待つべき時期なのか、手を打ったほうがよい時期なのか。そこを見きわめることが、この季節のいちばん大事なところだと考えています。
夏のあいだのヘアケアが、秋になって表れることもあります
女性の場合、髪そのものへの負担が秋の抜け毛に重なっていることがあります。夏に繰り返したカラーやパーマ、縮毛矯正。暑さでずっと結んでいたまとめ髪。同じ位置できつく結び続けると、その部分に負担がかかり続け、牽引性脱毛症につながることもあります。顔には日焼け止めを塗っても、分け目の頭皮までは塗らなかったという方も多いはずです。
いずれも、その場ですぐ抜け毛になるわけではありません。数ヶ月遅れて、ちょうど秋に表れてきます。分け目の位置を時々変える、結び目の高さを変える、といった小さなことでも負担は分散できますので、この時期から意識していただけたらと思います。髪型と抜け毛の関係は牽引性脱毛症の記事で詳しくお話ししています。
「季節のせい」だけで、困るほど抜ける方はほとんどいません
正直にお伝えします。抜け毛が増えたとご相談に来られた方に、「季節のせいですから様子を見ましょう」とお伝えすることは、ほとんどありません。
理由は2つあります。ひとつは、純粋に季節だけで、ご本人が困るほど抜けることは実際にはまれだからです。わざわざクリニックを探して来られるほど抜けているのなら、それは季節の範囲を超えていることが多いのです。
もうひとつは、そこまで抜けている場合、背景にFAGAがあることがほとんどだからです。季節はきっかけを与えているだけで、実際に進行させているのは別の要因、というのが診察での実感です。
ですから私が見ているのは、抜け毛の本数ではありません。女性の薄毛に特有の場所——分け目と頭頂部——が進んでいるかどうかです。ここが進んでいれば、季節に関係なく治療を考える段階だとお伝えします。
これはやむを得ないことなのですが、多くの方は、ご自身の知識の範囲で薄毛を「季節のせい」「ストレスのせい」に当てはめてしまいます。そう考えたほうが安心できるからです。ただ、そう思っている間もFAGAは進みます。「毎年この時期に増えるだけ」と何年も思っていた方が、実は少しずつ進んでいた——これは本当によくあることです。
ただし産後だけは別です。産後の抜け毛は多くの方が半年から9ヶ月ごろには戻り始めますので、その時期であればお待ちいただくことがあります。1年を過ぎても戻らないときは、産後ではない理由を考えます。
季節のせいか、FAGAか。見きわめるときに見ているところ
季節性の抜け毛と、進行するFAGAでは、抜け方と経過が違います。診察のときに私が見ているのは、次のようなところです。
| 見ているところ | 季節性の抜け毛(休止期脱毛) | FAGA(女性型脱毛症) |
|---|---|---|
| 抜けた毛の質 | 太さも長さも普通の毛が中心 | 細く短い毛が混じってくる |
| 経過 | 1〜2ヶ月でピークを越えて戻る | 戻らないまま、少しずつ進む |
| 分け目の地肌 | 落ち着けば元の見え方に戻る | 広がったまま戻らない |
| 時期 | 毎年おおよそ同じ季節に繰り返す | 季節に関係なく続いていく |
ご自身で確かめる方法としては、いまの分け目を写真に撮っておくことをおすすめしています。同じ場所、同じ明るさで、1ヶ月後にもう一度撮って見比べる。記憶だけで比べようとすると、不安な気持ちのぶんだけ悪く見えてしまいますので、記録が残っていると落ち着いて判断できます。
なお、分け目や頭頂部だけでなく髪全体が均等に薄くなっていく場合は、びまん性脱毛症という状態のこともあります。違いについてはびまん性脱毛症の記事にまとめています。
この時期にしていただきたいこと
特別なことは必要ありません。夜に一度、指の腹で頭皮をていねいに洗い、すすぎ残しをなくすこと。洗いすぎるとかえって乾燥しますので、朝晩2回は避けていただいて構いません。洗ったあとは自然乾燥にせず、根元から乾かしてからお休みください。濡れたまま眠るのは、頭皮にとっていちばん負担の大きい過ごし方です。
暖房を使い始める時期になると、頭皮も一緒に乾いていきます。室内の湿度は50%前後を目安にしていただくと、髪にも肌にもやさしい環境になります。食事は、髪の材料になるタンパク質と、鉄、亜鉛を切らさないことを意識してください。とくに鉄は、月経のある女性では不足しやすい栄養素です。強い疲れやすさやめまいを感じるようであれば、髪のことだけでなく、婦人科や内科でご相談いただいたほうがよい場合もあります。
こんなときは、一度ご相談ください
年を越えても抜け毛が減らないとき。分け目や頭頂部の地肌が、抜け毛が落ち着いたあとも元に戻らないとき。抜けた毛に細く短いものが増えてきたとき。ご家族に薄毛の方がいて気になっているとき。こうしたときは、季節のせいと決めてしまう前に、一度確かめておかれると安心です。
当院では、まずお話をゆっくり伺い、頭皮の状態を見せていただいたうえで、いま治療が必要な状態なのか、それとも経過を見てよい状態なのかをご説明しています。検査や他科の受診が先だと判断した場合は、正直にそうお伝えします。カウンセリングは無料で、その日のうちにお決めいただく必要はありません。お話を聞いて帰られるだけでも構いません。治療を考え始めたときの流れはFAGA治療の始め方の記事にまとめています。
カウンセリングから診察まで完全個室・完全予約制で、待合室で他の患者様と顔を合わせることはありません。院長が最初から最後まで担当しますので、次にお越しになったときも、前回どんなことを気にされていたかを覚えている医師がそのまま診ます。
よくあるご質問
秋の抜け毛は、毎年繰り返すのでしょうか?
季節性のものであれば、毎年おおよそ同じ時期に増えて、同じように落ち着いていきます。むしろ「毎年この時期だけ」という繰り返しがはっきりしている方は、季節性である可能性が高いと考えられます。年ごとに戻り方が悪くなっているという感覚があるときは、一度ご相談ください。
1日に何本抜けたら多いと考えればよいですか?
健康な方でも1日に50本から100本は自然に抜けますので、本数だけで判断するのは難しいところです。それよりも、抜けた毛の太さと長さを見てください。普通の太さの毛が抜けているなら生え変わりの範囲ですが、細く短い毛ばかりが目立つときは、髪が育ちきる前に抜けているサインです。
シャンプーを変えれば抜け毛は減りますか?
シャンプーは頭皮の環境を整えるためのもので、抜け毛の原因そのものに働きかけるものではありません。洗い方を見直すことには意味がありますが、何度変えても抜け毛が続くようであれば、原因を見きわめるほうが先だとお考えください。
妊娠中・授乳中でも治療はできますか?
薄毛の治療に使うお薬には、妊娠中・授乳中には使えないものがあります。産後の抜け毛は多くの場合、半年から1年で自然に落ち着いていきますので、授乳を終えられてからのご相談で間に合うことがほとんどです。それまでのあいだも、ご心配なことがあれば無料でご相談いただけますので、一人で抱え込まずにお声がけください。
抜け毛が増えたら、すぐに治療を始めたほうがよいのでしょうか?
そうとは限りません。季節性の抜け毛であれば、待っていれば落ち着いていきます。大切なのは、待ってよいものかどうかを早めに見きわめることです。急いで治療を始めることよりも、いまの状態を正しく知っておくことのほうが、この季節には意味があると考えています。
まとめ
秋は1年でもっとも抜け毛が増えやすい季節で、その多くは休止期脱毛と呼ばれる一時的なものです。1〜2ヶ月でピークを越え、冬に向かって落ち着いていきます。ただ女性の場合は、分け目や頭頂部という、もともと薄毛が表れやすい場所に季節性の抜け毛が重なるため、FAGAの始まりと見分けづらくなります。
見きわめの目安は、年を越えても続くかどうか、抜けた毛に細く短いものが混じっていないか、そして分け目の地肌が元に戻るかどうかの3つです。判断に迷われたときは、確かめるためだけにお越しいただいて構いません。不安なまま冬を越すより、一度はっきりさせてしまったほうが、ずっと気持ちが楽になります。

